空気層における音の共振(2014年7月号)

古い遮音設計マニュアルや住宅・木造家屋の防音室など実務経験に乏しい設計者は、空気層を設ければ音は減衰すると信じ込んでいます。もちろん、すべての周波数の音について減衰効果がないということではないですが、薄い空気層は過半の周波数の音を共振させることが多く、中途半端な空気層(空洞)は遮音効果を低下、悪化させます。

この現象を軽減するには、基本的に空洞部には吸音材を充填することが必要です。低周波に近い音は、20センチ以下の空気層では音が共振して構造体の遮音性能を低下させるという実験データもあるなど、一般的な住宅では身近に起きる現象です。
また、防音室の壁が、たとえば20センチ以下の厚さしか確保できない場合は、低い周波数の音にとって隙間や空洞部はすべてマイナスになります。
*低周波音は空洞部において共振・増幅されるという現場が多く、木造家屋においても要注意です。

これらの内容は、古い遮音設計マニュアルや事例には、ほとんど記載されておらず、現場の防音室などの設計・施工、音測定などの検証を行わない限り、気づかないことです。
空気層の扱いは、木造住宅、小規模な防音室、マンション(天井裏、床下など)において極めて重要なことなのです。