石膏ボードの重ね施工と音の周波数(2014年8月号)

いままで他のブログなどでも取り上げましたが、石膏ボードを重ねて施工しても特定の周波数帯(主に500~1000Hz付近など中音域)だけ遮音性能がワンランク(5dB)程度上がりますが、他の低音域および高音域の周波数帯では防音効果がほとんど向上しません。

音響学会の分析データ、ある石膏ボードメーカーが東大の研究所に委託した実験結果でも同様の傾向が明らかになっています。
したがって、壁に石膏ボードを重ねても、中音域以外の音が筒抜けになる状況が発生します。ピアノ防音室では低音と高音の帯域において音漏れが目立つという状況を改善できないのです。

また、マンションなど二重天井のボードに石膏ボードを重ねて施工しても、遮音低下のピークがやや低音域に移行するだけで、低音と高音における振動音を含めた音漏れ、共振の傾向は概ね変わりません。
これは剛性の高い板状の遮音材も同様の傾向を示します。
*鉛のシートを貼り付けたボードも同じような遮音低下を起こします。

このような状況を改善するには、柔軟性のある制振効果の高い素材を面的に施工する必要があります。