なぜ木造防音室の壁を薄く造れるのか(2015年10月号)

防音相談で、相談者に「なぜD-45~D-50の木造防音室の壁を薄く造れるのでしょうか」と質問されます。
*他の専門業者に見積りを依頼したらすべて申し合わせたように150ミリ~180ミリの防音壁を部屋全体に構築するという提案でしたと言われました。

壁が過度に厚くなる理由は、次のような要因が考えられます。
・石膏ボード、遮音シート、グラスウールだけで構築する。
・木材を軽視している。
・薄い防音壁を造った実績がないので検証できない。

防音職人では、少しは石膏ボードも使いますが、遮音シート、グラスウール、鉛シート、既製の遮音パネルは基本的に使用しません。
現場の状況や構造に応じて、木造と相性の良い防音材や音響素材、木材を駆使します。また、吸音率の高い吸音材を使用します。

結果として薄くて音響・防音効果の高い壁や床・天井を構築できるのです。しかも、木造に慣れている大工職人であれば施工がスムーズにできるように設計仕様を検討します。
だから、遠方の現場でもサポートできるのです。

約6帖程度の木造ピアノ室に、厚さ180ミリの防音壁を造ると、4.5帖程度の室内になります。空間が無駄になるわけです。そんな設計・施工をなぜ提案する必要があるのでしょうか。
まるで金太郎飴であり、音響・防音設計を専門家として本気で提案しているとは、私には思えないのです。