石膏ボード二重張りと防音効果(2016年8月号)

最も安い遮音材を思い浮かべると、すぐに出てくるのがPB(石膏ボード)と遮音シート(厚さ1.2ミリ、910×10000、面密度:約2~2.3kg/m2)です。
*PB9.5ミリ(910×1820)は約600円
*大手メーカーの遮音シートは1巻約3000円~3500円

単体の遮音効果なら石膏ボードのほうが上です。石膏ボードはマンション、木造住宅では内装の仕上げとしてクロスと一緒に張ることが標準仕様になっています。

では、この状態で、戸外からの騒音対策や防音室の防音壁として、石膏ボード12.5ミリを二重張りにすると、防音効果はどのように変化するでしょうか。
実は低音域と高音域においては殆ど遮音効果は向上せずに、概ね250Hz~1500Hzの帯域において5~6dB程度、遮音性能(空気音に対する透過損失)がアップするだけです。

ですから、騒音の主成分によっては効果が体感できない場合があります。石膏ボードのような硬質の板状遮音材は、必ずコインシデンスという特定の周波数帯で遮音効果が落ち込む現象が発生するため、重ねて施工しても弱点が改善されないのです。

このような弱点を改善するには吸音層を設けたり、特性の異なる遮音材・制振材を併用する必要があります。
→参考:防音材の特性

ちなみに、遮音・制振効果の小さい遮音シートを石膏ボードに併用しても殆ど防音効果アップは体感できません。