遮音材と経験則(2018年11月号)

防音相談でも防音材、なかでも遮音材の製品と施工方法を質問されることが多いです。

市販品については、実例をもとにリスクや留意点について、内部情報として教えています。公表されるとメーカーが困るからです。
*市販品は殆どが製品の試験体単独での透過損失(遮音性能)を計測して公表しています。

このため、経験則として現場での工法に応じた計測結果を検証していません。これがメーカーの遮音性能と現場の防音効果が乖離する主な原因になっています。
*性能は工法によって大きな差が出る場合があるからです。
*施工要領を検証してデーターを添付していれば、このようなリスクは軽減されると思います。

建築業界は、メーカーとユーザーの共同研究がないので、弱点に気づかないで販売し、使い続けている場合があります。

防音室の専門業者が分厚い構造体を二重・三重に構築するのは、そのためです。質量則のみ考慮して、実際の工法による相乗効果を分析していないのです。
これが業界の重大な問題点の一つです。

では、理想的な遮音材とは何かということですが、基本的に高比重で柔軟性のある製品です。次の記事をご覧ください。→理想的な遮音材

現時点では、費用対効果の高い遮音材を見つけるのは容易ではありません。石油・材料価格によって値段が変動するからです。原材料の組成・仕様もユーザーに公表されないで変更になる場合があります。
現場での防音効果の検証が絶えず必要になります。