鉛遮音パネル・浮床工法は木造防音室には不適格(2020年2月号)

一般的に住宅の音楽防音室に鉛遮音パネルを使用する業者は素人です。
それはコインシデンスや音響などを無視しているからです。また、過重量となる浮床工法は木造建物への負担が大きい割には費用対効果が低く、とくにピアノ防音室には不向きです。

それから壁や床下の通気を遮断する工法は木造家屋には大きなリスクがあります。木部などが湿気で腐ったり劣化します。将来のリフォームにも大きな制約となり、改修に多額の費用がかかります。

木造軸組在来工法のピアノ室は、プロのピアニストや音楽家から「建物全体で鳴るような楽器」とまで言われますので、木造の特長を活かすことで、良好な音響が確保できます。
これを台無しにする遮音パネルなどは使用しないことが重要です。石膏ボードの多用もマイナスになります。

なお、断熱材と吸音材の区別も出来ないような建築士や建築会社に、木造音楽室を依頼すること自体がリスクがあります。施主の方は、必ずご自身の目で判断して、自分の言葉で専門家を説得して下さい。
世の中の専門家は、お金だけでは動きません。心を動かすことが成功への第一歩になることをご留意下さい。

ちなみに、防音の専門家を見抜く基本事項は、「遮音」「制振」「吸音」「コインシデンス」「素材の周波数特性」です。これらを考慮しない、理解できない業者は専門家ではありません。