一般的に硬質で剛性の高い遮音素材は、低音域・高音域において遮音効果が著しく低下する現象(コインシデンス)が起きます。同じ素材を重ねても、その傾向は基本的に変わらず、力任せに施工しても、防音効果は余り向上しません。

 このような特性を無視して施工された木造などの防音室において、音漏れが酷くなり、クレームが発生するなど、防音職人の相談事例においても比較的多いケースであり、防音設計担当は留意する必要があります。
また、吸音材によっても周波数帯ごとの吸音率に差が見られ、使用する製品によってトータルの防音効果は、大きなばらつきが発生することもあります。

 さらに、遮音パネルと呼ばれる硬質の面密度の高いボードを重ねるだけの施工では、つなぎ目からの高音域の音漏れが大きくなり、特に楽器の防音室では問題となります。これは隙間対策のレベルにもよりますが、硬質で音を反射するだけの素材は弱点となるつなぎ目からの音漏れが大きく、室内の過度の反響により、音環境が悪化する傾向が見られます。

 音響・防音対策においては、使用する防音材の種類・特性に十分留意して設計・施工を検討する必要があります。ピアノのように30Hz~4200Hzという音域の広い楽器の防音室では特に注意する必要があります。

 PBなどを含めた遮音材は、予算が許す限り、単一素材の重ね施工だけでなく、特性の異なる素材を併用することにより、コインシデンスを抑制し、防音の相乗効果を高める工夫が重要です。
 その中でも、木材の活用が有効であり、高価な遮音材を減らしながら、遮音効果を高め、コスト低減を図ることが可能になります。木材を活用した製品開発、防音設計の標準化などが期待されています。