木造防音・ピアノ防音室の前提条件
 木造住宅の防音には、下地・軸組み(1階の束を含む)の構造的な補強が大切です。
 特に、グランドピアノ防音室や低周波騒音対策(車などの振動騒音を含む)には、床などの構造的な補強を行った上で、防音対策を行うことが
効果的です。
→ 防音対策の事例
 また、近年の建売住宅などでは、高気密高断熱工法を採用するメーカが多いものの、断熱材及び内装材などの工法によって、外壁の吸音性が
低い場合があるため、総合的には防音性能が上がらず、築年数の古い在来工法の戸建住宅よりも遮音性が低いことが少なくありません。
 このため、構造的な補強に加えて、弱点である機能を補強することなどバランスの取れた防音構造を検討することが重要です。
この写真の音楽教室では、子供のリトミックやピアノ音楽教育のため、床の振動対策と周辺への遮音を強化し、低音から高音まで高い防音効果を
実現しました。→ ピアノ防音室の詳細
ピアノ防音室の設計・工事の留意点
 木造のピアノ防音で最も重要なことは床下地の補強と壁・床の共振を絶縁する工夫です。
 これに適切な吸音材・遮音材をコンパクトに構築することにより、比較的薄い構造でもD-55~60程度の防音性能を確実に実現できます。
遮音材の施工は、遮音欠損を防ぐための気密処理や張り方などの工夫が必要になります。
 写真のグランドピアノ防音室の事例は、厚さ約120ミリの防音間仕切り壁において、D-60~D-65の防音性能を確保できました。
 木材は適度に音を吸収する特性があるので、マンションよりも薄い防音構造でも十分な効果を発揮させることが可能です。
木材は遮音材でもあり、吸音・音響調節材料でもあるのです。無垢材、合板など、それぞれの特性を踏まえた工法により、快適な音環境を
構築することが可能です。
 また、仕上げにも細かい配慮が必要です。例えば、床をフローリングにすると反響する面になりますので、天井は反響をある程度吸収(吸音)
する仕上げが望まれます。
 特に狭い部屋では、反響する面の割合が多すぎると、不快な音環境になり、楽器の練習もやりにくくなります。
同時に音漏れの要因にもなりますので、注意が必要です。
防音効果を高めるための防音室の設計・工事に関する留意点・方針の概要について述べます。
 *防音職人が実践したピアノ防音室の実例を踏まえて、対策のポイントに触れています。 → ピアノ室・楽器(ブログもご覧ください)