薄い防音構造で住まいの生活騒音を軽減する

 住宅では構造的な制約があるため、過大な遮音材にシフトした防音構造は重量・コストなどが問題となります。
 空間的な制約もありますので、出来る限り薄くて、比較的軽量な対策が必要です。この点が、音楽スタジオ、オフィスビルやホテルなど 大規模施設と異なるところです。

 特に、木造建物の防音では、遮音だけにシフトすることは構造的に限界があるため、制振(防振)、吸音の扱い方が極めて重要です。
 他のコンテンツでも採り上げますが、遮音材=遮音これはイコールと捉えても良いと思いますが、制振=制振材ではありません。同様に 吸音=吸音材でもありません。表層材・軸組みを含めた下地材の構造に加えて、使用部材そのものに制振・吸音能力があるからです。

 このことが理解できない専門家は、住まいの防音対策・木造防音室のプロではないと思います。例えば、吸音機能は遮音材・制振材にも あります。総合的な組合わせ方・構造の中に出てくるものです。その典型的なものが木材です。木材は使い方次第で、遮音材にも制振材・吸音材にも なるのです。


木造住宅の新築計画・リフォームに対応できる防音設計

 上記で述べました「薄い防音構造」これが、木造住宅の新築やリフォームに柔軟に対応できる最も重要なポイントです。診療所・店舗など 併用住宅や生活時間の異なる2世帯住宅においても対応できます。
 それは「遮音」「制振」「吸音」の3つの機能を総合化することによって成立する構造です。複合化による相乗効果で、薄くても質量則を 大幅に超えた性能を発揮させるのが、防音職人の特長です。

 木造住宅の防音設計には、住まいの耐久性・安全性・快適性に加えて、防音材を含めた素材の特性や長所・短所を知っていなければ なりません。狭い分野のみの知識と経験だけでは、優れた生活防音や音楽環境の構築は出来ません。
 また、現場の施工に関わる職人からの意見などを汲み上げ、設計や材料・工法選択などに反映させることも、費用対効果アップには重要な ことです。特にリフォームでは既存構造に過度な負荷をかけられない、空間を余り狭く出来ないという制約がありますので、コンパクトな 防音設計が不可欠なのです。