人間の耳と周波数を考慮した防音
 木造住宅は、マンション等コンクリート構造の建物に比べると遮音性が劣るのは事実ですが、木造は吸音性が高く、使用するピアノ
など楽器の周波数帯を考慮した防音構造を補強すると、格段に防音性能が向上します。
 人間の耳に聴こえる周波数は、一般的に20Hz~20kHzと言われています。加齢とともに、高い周波数の音が聴こえにくくなりますが、
低い周波数の音への聴力は余り低下しません。
 特に、低い周波数の音は年齢に関係なく個人差が大きく、低周波音に敏感な人も少なくありません。
 このため、戸外からの騒音対策や、ピアノなど楽器防音室の設計・工事において、低周波音を含めた音域への十分な配慮が必要です。
 ちなみに、ピアノの周波数帯は、約30Hz~約4200Hzと楽器の中でも非常に幅広く、バランスの取れた対策が不可欠であり、かたよった 周波数の防音は音漏れの原因になりますので、要注意です。
ピアノなど楽器の簡易防音
 予算や構造的な制約で、どうしても通常の防音構造を構築できないことが、住宅の場合は多いと思います。建具や部屋の広さの問題で、既存面に
薄い防音対策しかできないこともあるでしょう。
 このような場合でも、薄い簡易防音なら、実施できると思います。特に木造住宅では、既存のボードや吸音材とは特性の異なる防音素材を、
気密工法で重ねることにより、結露防止を図りながら遮音性能を大幅に向上させることができます。
 *壁・床などに適した防音材
 表層材に、音響化粧板を活用したり、壁面に簡易的な吸音板を立てかけたり、貼り付けることにより音響調節も可能になります。
 また、天井にピクチャーレールなどを取り付ければ、カーテンのような幕(布)・吸音ウールなどをぶら下げて、音響調節もできます。
色々な方法を組み合わせれば、防音効果も高まります。
ピアノなど楽器の周波数を考慮した防音、簡易的な工事・DIYによる工夫について留意点などを述べます。
 *ピアノ、ヴァイオリン、フルート、サックス、キーボードなどの楽器の周波数帯に対応した対策がポイントです。
 *通常の防音工事が出来ない場合でも、防音材などを使用したDIYによって、防音効果を高めることは可能です。