防音職人(ホーム)

騒音の原因を分析して防音構造を再構築する

寝室の天井裏と断熱発泡材

 この木造住宅の寝室は、ガルバニウム鋼板屋根に当たる雨音や、熱・温度変化による膨張・収縮のたびに、パキンという金属音が 発生して、眠れない又は部屋に居てストレスを感じる状況でした。このため、これらの音を防音するのが目的でした。
 また、騒音を天井の下地やボードに伝播させていたのは、金属屋根と下地の間にパッキンがなく、天井裏に断熱発泡材が隙間なく はめ込まれており、これが振動音や空気音を天井にダイレクトに伝えていました。

 この発泡スチロールのような発泡材は、吸音効果がないだけでなく、空気音や固体音ともに遮音性能が低下する現象が起きることが 少なくありません。主な騒音原因は、金属屋根のパッキンなど絶縁不良、発泡材による遮音低下であることが分かりました。
 予算的な余裕があれば、屋根の改修を行い、制振ゴムなどを屋根材の下地に挟めば、大分音が小さくなることは分かっていましたが、 予算の制約で天井内部について防音対策を行うこととし、天井裏の吸音および下地の振動絶縁、表層材の遮音強化の3つの方針を検討し、 防音性の高い内装構造に再構築することにしました。


振動騒音を絶縁して騒音の共振を抑える防音対策

防音材の施工と下地の改造

 天井裏の騒音を吸収するため、周波数特性の異なる2種類の吸音材を選択して充填しました。(騒音原因の発泡材は全て撤去)
 下地には制振材を全面的に幕のようにカバーして取り付け、最後に遮音マット(写真参照)を貼り付け、つなぎ目を気密遮音テープで シールしました。仕上げは、石膏ボードとクロスです。

 この防音工事が完了した後、依頼者のご報告によると、音はほとんど聴こえなくなったそうです。
 今回の現場は、建築士による設計ミスであることが判明したわけですが、依頼者が再三、遮音効果について新築前に確認したにも関わらず、 設計担当者の経験不足と防音に対する無知が引き起こしたトラブルだったのです。
 防音職人では、リフォームと新築の段階での防音設計を行っていますが、今回の案件は、リフォームによっても木造住宅は対策が可能である ことを示した典型例と言えると思います。