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防音対策20年の自分史「序章:マンション編」

私が防音設計・施工の道に入り込んだきっかけは、20年前に購入した分譲マンションでした。
この業界の10年先いや5年先でも予想することは難しい面があり、過去20年間のエピソードや技術的な課題などを綴っても意味があるのかという点を考えてみました。
ところが、技術的な課題にスポットを当てると、現在も同じ課題は解決されておらず、古くて新しいと勘違いされている問題が残されています。
*その典型はマンションのGL工法の騒音問題、二重天井の衝撃音対策です。

また、防音製品も性能が低下したものもあり、新しい防音材が開発される一方で、玉石混淆状況となり、20年前よりも逆に高度な判断が要求されるケースが増えたようです。これは約20年間の変遷を見ると、業界が偏った製品開発をしていることに気づきました。
*重量衝撃音対策よりも軽量衝撃音対策にシフトした製品を多く供給しているという事実などに表れています。

序章:マンション編 > 第2章:木造防音室に取り組む > 第3章:薄いコンパクト防音の追及
この3つの章に分けて述べていきますので、必要に応じてご覧ください。

自宅マンションを防音実験室にした

購入した自宅マンションの生活騒音筒抜け状態に驚き、その原因と対策を追求し始めたのは約20年前のことでした。当時の水準は床スラブ150ミリから200ミリへ標準化される端境期にありました。自宅マンションは150ミリのスラブで懐のない二重天井(下地が直付け状態)というもので、振動音など固体音だけでなく、テレビの音・人の声など空気音に対しても余り遮音性能がない状況でした。

その要因はスラブの厚さ不足や天井構造だけではなく、一部戸境壁面を含めてGL工法の面積が占める割合が大きく、スラブにCD管(電話・コンセント・TVなど配電線を塩ビ管に束ねたもの)を埋め込んでいる個所があり、その分、遮音欠損が生じるなどの悪条件が重なったことです。
建築設計者に質問したところ、GL工法による遮音性低下や天井下地が直付けになっている構造が振動音などをダイレクトに伝えていることを理解していないことに驚かされました。
*建築士自体が一般的に防音設計をまったく理解していなく、基本的な知識でさえもっていないという業界の問題に直面しました。

このような状況では、まず防音専門業者に対策を施工してもらうしかないと思い、独学で勉強を始めながら、一方では専門業者に提案をしてもらうことにしました。ソフトカームという鉛シートの遮音材メーカーに施工を依頼して約4.2帖の洋室の天井と壁を工事しました。ところが、GL工法の壁面に重ねて施工することと、天井は鉛ボードと密度の低いグラスウールを使用するだけの設計施工でした。
その結果は、まったく遮音効果は体感できず、人の声など空気音さえ遮断できませんでした。別の部屋はリフォーム業者に遮音シートとPBを重ねて施工してもらいましたが、天井は少しだけ遮音効果がアップしたものの、壁面はまったく効果がありませんでした。

この経験により、鉛の遮音パネル、遮音シートは防音対策には殆ど役に立たないことを身をもって経験しました。これが契機となり、本格的に防音設計の研究を独学で取り組むため、自分で設計した仕様を知人の大工職人に施工してもらい、その効果と専門業者が失敗した状況を「実験室」として経年変化を体感することにしました。
*現在(2015年4月現在)においても、自宅マンションは実験室として体感し続けています。

自力で防音工事を行ったことにより、グラスウールは吸音効果が少なく経年変化で性能が低下すること、遮音ゴムは比較的効果があるが、ゴムの含有量が多いものほど耐久性がなく経年劣化しやすいという特性を学びました。
*これが現在の私の防音設計仕様に反映されています。

防音材の特性を実体験で学ぶ

吸音材に関してはロックウールやポリエチレンウール(ペットウール再生材の繊維)が吸音性が高く、ポリエチレンウールは耐久性が高く殆ど経年劣化しない安定していることが分かり、高密度なものほど中高音域の吸音性が高いという特性があることが分かり、大きな成果がありました。
*ロックウールはやや耐久性は劣るものの、幅広い周波数の音をまんべんなく吸い込むことが分かりました。

制振材は発泡樹脂、高密度フェルト、遮音ゴム(防振ゴム)、ウレタンマット、樹脂の遮音マットについて、自宅マンションと知人宅で試験的に効果を確かめました。振動音など固体音については高密度フェルトと遮音ゴムが効果的であり、その他の製品は軽量音について効果があることが実体験とメーカーの試験データで分かりました。
*現在では重量衝撃音に効果的な製品が非常に少なくなり、木造の防音室ではアスファルト制振マットを併用するようになりました。

マンションの防音課題

防音設計は、「遮音」「制振(防振・絶縁)」「吸音」の3つの機能を複合化することによって構築するものであることを学びました。
現在も、マンションの主な防音課題は二重天井・二重床、GL(胴縁2重壁含む)壁の騒音対策であるという点は、20年前から現在(2015年4月)に至るまで変わっていません。
防音設計・施工の難しさは、大半がマンションの課題の中に含まれています。木造家屋と共通した点も多く、現実的な費用と工法でいかにして問題を解決するのか、防音室では音響調整を含めた音の特性を踏まえた設計仕様など総合的な課題と向き合うことが要求されます。

話をマンションに限定しますが、マンションの騒音対策で最も難しいのが二重天井です。天井裏の空気層がバネとして主に低音を増幅してしまうという難題があります。その主成分は低周波音であり、30~100Hzの帯域は子供などが走る音、重いものを床に落とす音などに相当し、近年のマンションにおいても同様です。
これは二重床の部分で問題を解決する仕様を確立すればかなり音が小さくなりますが、業界は施工費用がかさむという理由で上記のような重量衝撃音対策には消極的です。
*20年の自分史では、関連する情報リンクを随時入れる予定です。

GL工法の問題は人の声や重量音に相当する周波数帯の音を余計に伝えやすくするというマイナス面があり、これに代わる工法は二重天井以上に重要な課題であると考えられます。ここでは業界がこの工法を続ける理由について省略しますが、これは昭和の時代のマンションから現在まで同様な遮音上の欠点を抱えるものです。

今まで述べてきました課題に、私(防音職人ウェブマスター:設計担当)は色々な現場の案件として取り組んできましたが、近年はあまりの制約の多さ(とくに大震災以降)と相談者のモラルなどレベル低下に悩まされ、業務としては採算性が確保できない状況に追い込まれました。
このため、事業を続けるために木造家屋に重点を置いた事業運営に軌道修正しているところです。
*現在は施工コストや防音材など資材搬入上の制約で、マンション案件は地下1階および地上2階までの物件に限定して防音相談や工事をお受けしています。
(2015.04.08)

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