防音職人では、25年以上の防音設計・施工経験と自宅マンションでの実体験などをもとに比較検討して、当サイトに掲載している受注生産の防音材を選びました。
木造ピアノ室の特長
木造ピアノ室(木造軸組在来工法)は、まるで「建物全体で鳴る楽器」のようだとピアニストなどに言われています。
とくに、木造軸組在来工法の建物は、国内外で音楽室としてプロに好まれており、木材そのものが良質な音響素材として機能しています。無垢材はその主な素材であり、フローリングや羽目板、軸組下地などに使用されます。
防音職人の音響・防音設計の主なコンセプトは
・限られた空間(室内・天井裏・壁内・床下)を最大限に活かすことで部屋を狭くしない
・構造的な補強によってピアノ室の制振性を強化して共振を抑える
・適正な壁内及び床下換気、通気を確保して建物の寿命を永くする
・木造と相性の良い防音材および木製ボードなどを併用して遮音性能を効率的に高める
・薄いコンパクトな防音構造を構築することによって小規模な部屋でも対応できる
以上の内容を施工するには特殊な専門施工業者は不要です。防音職人の設計図書と防音材があれば大丈夫です。
丁寧に現場管理と工事を実行できる誠実な建築会社(地元の工務店など)が適しています。地方の現場でも問題はありません。
防音材の面密度と素材特性
防音材の重要点は、面密度(kg/m2)、柔軟性(硬質でなく曲がるもの)、耐久性(引張り・曲げ、経年変化など)に優れていることです。施工する際に、切り口(切断面)が曲がったりして突きつけるのが難しい製品は、防音工事には不向きです。すぐにちぎれてしまう素材もダメです。
面密度が小さくて制振性が弱い製品は遮音効果が低いので、これも除外しています。鉛のように面密度が大きくてもコインシデンスの弱点があり、制振性が弱い硬質な製品は防音材としては汎用性がありません。
以上の重要な諸点を考慮すると、薄い遮音シート、千切れやすい非硫化ゴム遮音シート、劣化しやすいリサイクルゴム製品、制振性の弱い鉛シート・ボードが不適格になります。アスファルトシートも表面が特殊加工していない製品は千切れやすいので、施工性に難があります。
費用対効果や施工性を勘案して残った防音材は、市販品にはなく、防音職人のウェブサイトに掲載されている受注生産の専門材だけです。
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ピアノ防音室に適した防音材
25年以上の実践経験で使用した製品が防音職人の主力資材として、ピアノ防音室などの担当現場で活躍しています。幅広い周波数の音を出すピアノには、特に木造と相性の良い防音材が必要です。
これらの防音材は世間では知名度が低いため、一般ユーザーや建築会社には余り知られていませんが、私の取引先や提携先ではプロ仕様の防音材として評価の高い製品です。幅広い周波数帯において優れた防音効果を発揮できる、比較的薄い素材です。
コインシデンスなどの弱点がなく、低い周波数から高い周波数まで右肩上がりの遮音特性を持っています。さらに石膏ボードや合板類の弱点を補正するだけでなく、相乗効果を発揮し、質量則を大幅に上回る防音材です。
市販されている防音材を含めて、下図のように周波数ごとに遮音性能(透過損失)が製品ごとに異なります。
石膏ボードのような硬質の遮音材には、通常ガラスと同様に、一般的にいくつかの弱点があります。これを補完するには防音材(高比重で柔軟性がある製品)が必要不可欠です。
*下図の遮音材→遮音マット3ミリ
*図中のプラスターボード(石膏ボード)のコインシデンス周波数は2500Hz付近