マンションの防音対策のうち、難しいのが「天井騒音」と「GL壁騒音」「床の衝撃音対策」です。このうち、DIYで対処できるのが床の衝撃音・振動音(自分が出す音、隣接世帯からの騒音)です。

重量衝撃音と軽量衝撃音の主成分

軽量衝撃音は概ね125Hz~2000Hz(このうち主成分は125~500Hz)の音です。子供の歩行音、小さな物の落下音、掃除機の音などです。

重量衝撃音は概ね20Hz~500Hz(このうち主成分は250Hz以下)の音で、現実的な防音工事などによって軽減できるのは30Hz以上の音が対象になります。低い周波数の音(とくに100Hz以下の低周波音)ほど防音効果が下り、難しくなります。

軽量衝撃音は、カーペットと防音材を併用することにより、大幅に軽減できるため、市販品の大半が軽量音向きに生産されています。一方、重量音の対策製品は非常に少なく、まったく防音効果のない製品もあります。
対策の立案や製品選定には注意が必要です。

GL工法壁・柱・梁型の防音対策

GLによる騒音共振は近年の新しいマンションでも依然として問題になっており、この工法は軸組二重壁構造でも同様な騒音共振・共鳴が起こり、躯体素面よりも10dB以上も遮音性能が低下します。

振動音だけでなく、人の声やテレビの音など空気音についても共振させるため、GLの面積が大きいほど騒音は大きく体感されます。
*たとえば角部屋のマンションでは大きな影響を受けます。

この騒音を大幅に減らす現実的な対策は、GL下地を撤去して造り直す防音施工によって可能になるものであり、既存面に防音材を重ねるだけのDIYや簡易的な施工では余り効果が出ないことがあります。

通販サイトなど安易な防音材の宣伝を鵜呑みにせずに、専門家・専門業者に相談されたほうが無難です。

天井騒音の防音対策

最も難易度の高い施工が天井騒音の防音工事です。通常、防音製品を貼り付けるだけの対策ではほとんど効果が出ません。
*そんな安易な方法で大幅に騒音を減らせるという業者は誇大広告です。

マンションの二重天井は、上階からの衝撃音が天井裏の空気層をバネのように共振させ、ボードを騒音が透過してきます。同時に軸組下地などを固体音が伝播し合わせて階下の室内へ騒音が響きます。
音の主成分が低周波音の場合は、対策が非常に難しくなります。

また、大震災以降、既存天井スラブへのインサートの増設は認められず、金物補強もほとんど出来ません。許可されるのは、既存の梁型・壁への部分的なビス留め固定に限定されます。
この工法で防音天井を構築することができる専門業者は、きわめて少なく東京でもほとんど存在しません。
*防音職人は、この工法が実行できる数少ない業者の一つです。