防音の基本理論は「質量則」と言われています。基本的に間違いではないのですが、これだけでは木造住宅など木造家屋や一般的な住宅の構造的強度・耐久性や狭い室内の制約を解決することはできません。
また、一般建材(石膏ボード、合板など)だけでは、必ず音響や遮音性能の弱点が生じるので、分厚くしても費用対効果は低くなります。
そこで、一般建材と相性の良い「防音材」活用が必要になります。この場合、吸音材を含めた建築材料の特性や空気伝播音・固体伝播音への防音効果について、コインシデンスおよび透過損失の周波数特性を検証することが重要になります。
硬質な遮音材はコインシデンスによる弱点から逃れられない
石膏ボード、ALCパネル、鉛ボード、硬質シージングボード、パーティクルボード、ガラスなど硬質な遮音材は、通常、低い周波数帯と高い周波数帯において複数のコインシデンス(遮音低下)を起こすことが知られています。
このため、空気伝播音対策においても、これらの一般的な建材を厚く重ねても遮音上の弱点は解消されず、コインシデンスの特定周波数が比較的低い周波数にずれるだけで、基本的な傾向は変わりません。
もちろん、分厚く重ねてマスによる面密度・重量の大きさで対処することは理論上は可能ですが、一般住宅などの構造体への負荷が大きすぎて、耐久性や安全性に問題が生じます。
この問題を解消するため、薄くて遮音性能の高い防音材を併用することが「防音設計・施工」の重要な役割となります。
当ウェブサイトにおいて掲載されている防音材は、空気伝播音と固体伝播音の弱点を解消するための高性能な遮音材・制振材・吸音材を取り扱っています。
素材の周波数特性と防音材の活用
グラスウールを含めた一般建材の多くは、250Hz~1500Hz付近の周波数帯における遮音効果が比較的大きく、低い周波数帯と高い周波数帯の遮音性能(透過損失)が小さい傾向があります。
たとえば、石膏ボードと硬質シージングボード、グラスウールだけでピアノ防音室を造ると、低い音と高い音が大きく漏れるため、防音室としての機能を確保することができません。
*分厚くすれば、ある程度の防音性能は得られますが、費用対効果が低くなるだけでなく、空間が狭くなるのでピアノなどが配置できなくなります。
防音材は通常、右肩上がりの遮音特性を示し、周波数が高くなるほど透過損失も大きくなります。石膏ボードや合板の弱点を補完するだけでなく、相乗効果が出るような製品開発が求められます。
防音職人では数多くの実績と現場での測定データを検証して選んだ素材・製品を併用することで、一般建材の弱点を解消してきました。
また、防音材とボード類など一般建材との相乗効果により、質量則を超過する効果が出るような工夫をしています。その結果、構造体の厚さを薄くし、工事費用を軽減しています。