GL工法の壁と防音対策(2014年2月号)

防音職人の原点は、マンションのGL壁と木造外壁の防音対策です。

とくにGL工法に対して、防音材を直接貼りつける防音工事による失敗例は多く、他の業者が施工した失敗の相談をお受けすることがあります。

はっきりしていることは、鉛のシート・ボードをGL工法の壁・梁・柱に施工することは何の効果もないだけでなく、今まで気にならなかった周波数の音まで気になるような変化が起きることです。

それは通常、石膏ボードの上に施工するので、大半は石膏ボードの遮音特性に左右され、低音と高音域に弱点があるという性質そのものが改善されないのです。これは薄い遮音シートを貼りつけて石膏ボードをサンドイッチにして重ね施工するのと同じです。鉛ボード、遮音シートは無力に近いです。

また、今まで気にならなかった周波数の音が気になるように感じる現象は、石膏ボードと鉛の重ね施工によって、遮音低下が大きく起こるポイントが少し低い周波数に移行するためです。たとえば、2500Hz付近で起きる遮音低下が1500~2000Hz付近にずれるという変化が起きます。

全体の防音効果が乏しいうえに、石膏ボードのもつ弱点の傾向を改善することができない結果、このような状態になります。遮音シートも鉛ボードも制振効果がほとんどないと言えます。提携先の相談現場でも同様な事例が報告されています。

ですから、GL工法の壁などに、直接、鉛のシート・ボード、遮音シートを重ねて施工する業者は、防音対策については素人なのです。