新築木造音楽室の理想(2025年11月号)

古い設計手法による分厚い防音構造、木造の特性を生かせない遮音パネル工法やコンクリート増設による床下空間つぶし、軽量鉄骨製品の併用など、他の専門業者が標準仕様としている内容を木造音楽室に施工したら、その時点で新築木造音楽室の価値は大きく損なわれると思います。

従来型の分厚い防音構造のマイナス面
小規模な狭い部屋には物理的に適用できないだけでなく、木造耐久性にも悪影響が出ます。
過度に狭くすることにより、空間的な価値が小さくなります。
グランドピアノなどの楽器の配置自由度がなくなります。

木造の特性を生かせない遮音パネル工法
基本的に遮音パネル工法は、反射音がきつくなり、音響の最適化が出来ないだけでなく、つなぎ目からの比較的高い周波数帯の音漏れなど遮音欠損が大きくなるため、防音効果が低くなります。

木造音楽室の理想
出来る限り薄い防音構造で構築して、木材・木製品を活かした音響の最適化を図る設計仕様が理想です。
特に、軸組や下地材、仕上げの表層材には針葉樹による木材・木製品を使用し、木製品と相性の良い防音材を併用することにより、音響と防音の費用対効果を高めることが望まれます。

薄い防音構造で構築できれば、ピアノなど楽器の配置自由度が大きくなります。
また、木造の構造的な負担を軽減することで、音楽防音室および建物の寿命を長くすることが可能です。

ちなみに、床下空間をコンクリート増設や軽量鉄骨でつぶすような施工をすることは、木造の音響特性を台無しにするだけでなく、木造の通気性を遮断することによって、建物の寿命を大きく損ないます。

防音職人では、従来型の伝統的な木造軸組在来工法を最大限に生かす、音響・防音設計を理想として追求してきました。これからも、この方針は変わりません。