界壁防音の多層構造の想い出(2025年12月号)
この事例は、私の仕事場から遠方にある分譲マンションであり、私以外の防音専門業者が諦めた案件です。
それは金額の問題ではなく、界壁の梁型の出っ張り幅が戸境壁面から80ミリしかなく、他の専門業者が提示した防音構造がすべて180ミリの厚さがあったからです。すべての提案が梁型部分から約100ミリ飛び出てしまうため、非常に見苦しく、しかも既存の収納建具や隣接するカーテンボックスなどの造作をすべて壊さないと構築できない構造でした。
施主の希望する遮音性能は既存より15dB以上アップさせるものでしたので、他の専門業者は界壁駆体の厚さ180ミリと同等の厚さの対策でなければ無理であると判断した結果でした。
これは約30年から40年前の「質量則のみを前提とした遮音設計技術」で設計すると、このような分厚い構造体の防音施工になるという典型的な見本です。他の専門業者の技術が30年間、まったく進歩していない証です。
この現場は、私の防音設計によって解決され、防音工事は成功しました。防音工事を担当したのは施主が探した地元の普通の工務店です。東京から納品した説明書と専門的な防音材によって施工できました。
(一般的な建築材は地元の工務店が注文できる製品を指定しました)
多層構造の防音設計
私は自分の多層構造の防音設計手法を開発するのに、会社勤め時代を含めて通算約20年以上かかりました。
私は新しい視点と技術の手がかりを、土木工学と車産業の防音材メーカーに求めました。そして自費で自宅や知人宅に試験的に防音材を使用して体感しました。
さらにメーカーの担当者が上京してきたときに、東京の目白・高田馬場で打合せをしました。そして独立開業したあとは国立駅前の喫茶店で打合せをして、彼らの開発した製品(防音材)の資料を提供してもらい、担当現場で使用しながら、防音効果を検証しました。
約20年前のエピソードです。新しい設計仕様を開発するのに予想以上に時間が掛かり、費用対効果を追求することと、出来る限り薄い防音構造にすることが課題でした。
現在、この手法は、木造防音室の音響・防音設計にも応用してます。

