木造の防音設計技術者の現状(2026年2月号)

私が学生時代を過ごした地方都市では木造の防音設計を専門とする建築士は存在しませんでした。※父親が建築士だったので、大学在籍中でも状況を聞きましたが、商売にならない現場の音響・遮音設計なんか請け負う建築士どころか建築業者そのものが存在しないと言われました。
*それから40年以上経過した現在、東京都内で自営業をしている「防音職人」の運営者である私の認識は、当時と殆ど変わっていません。

私より約7年以上の実務経験があるベテランの取引先建築士にも聞きましたが、現在においても「木造の防音設計」を本業とするエンジニアそのものが居ないと言います。
彼が言うには、木造防音室の専門業者の設計仕様や工法は大半が「コンクリート構造や鉄骨構造の建物の防音設計」と同じ手法であり、木造を最適化するような設計内容ではないということです。
*私も約30年以上、自分以外の専門家を探しましたが、現在も見つかりません。
*取引先の情報では地方都市に数名居られたようですが、現在は皆さん現役を引退されているようです。

当時から防音設計は、一部の大手企業が手掛けるコンクリート構造の音楽ホールや劇場など公会堂における事例しかなく、木造建築の音響・防音設計マニュアルそのものが存在していなかった。古い文献など専門資料を探しても存在していない。
*木造の防音設計に関する専門情報は書籍やネット上のコンテンツを探しても断片的に分散しており、具体的な方法論を記述しているウェブサイト(ブログ)の記事は見つかりません。

このため、防音職人noteでは木造の防音設計の事例や考察についての記事を中心に投稿するようになりました。※参考記事:木造住宅の音楽室の専門家
おそらく、木造建物の防音設計に対する社会的な評価と専門業者に対する信頼性が低いのではないかと思います。専門業者においても受注金額の高い防音室ばかりを請け負う傾向が強く、木造住宅の生活防音や小規模な木造防音室に対して丁寧な説明をする努力を怠ってきたのではないでしょうか。
その証拠に、ネット上で検索しても木造の生活防音や音楽防音室に対する「木造建物の特性や工法的な特長」を生かした設計・施工の手法や事例を検証したコンテンツが非常に少ないです。
業界として力を入れていないことが明らかです。

防音職人では、年配者である私の体力が続く限り、出来るだけ永く地道に実務を続けていきたいと思います。