木造住宅及び防音室の吸音材の留意点(2014年6月号)

木造住宅の生活防音や防音室の対策のために吸音材を活用するのは一般的ですが、使用する製品・工法には留意する必要があります。
将来、メンテナンスを行う天井や外壁・内壁の内部に、セルロースファイバーのような吹き込みで充填する製品・工法は、吸音効果以前に解体して補修する際に中身が出てしまいますので使わないほうが無難です。

外壁や天井の断熱材は、袋入りのロックウールが便利です。内部結露や雨漏りの際に、取り出して交換できるからです。セルロースファイバー吹き込み方式は、内部に雨水や浴室・台所などの水回りの配管から漏水した場合、最悪の場合はやり直しになります。

防音室と言えども、将来のメンテナンス、部分的な補修を考慮した工法が望ましく、吸音材の経年劣化を含めて、費用対効果を検討する必要があります。

ロックウールは比較的経年劣化の少ない素材ですが、もっと耐用年数を高める場合は、ポリエチレンウール(ペットボトル再生繊維)を使います。この製品は通常、建物の内装材の寿命よりも長く吸音効果を持続できます。木造住宅のように比較的内装制限を受けにくい建物に向いています。
*店舗、診療所のように内装制限を受けやすい場合は、ロックウールを使用します。

なお、グラスウールは一般的にロックウールなどに比べて吸音能力が低く、製品の種類が多いため、実績の少ない防音業者には使いにくい製品です。