木造防音室には適正な仕様がある(2015年4月号)

最近、防音職人が木造防音室(ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、吹奏楽器など)の業務をお受けする際には、大半が他の専門業者に相談されたあとに、私(防音設計・コンサルティング担当)への防音相談(無料相談)を予約されることが多いです。

ではなぜ、他の専門業者3~5社の提案に納得されないのでしょうか。見積金額的には大半の業者間に大差はなく、あとは提案内容次第だと思います。
依頼者に問題点をお聞きすると
「D-45~50レベルで壁や天井などが150ミリ~180ミリ程度狭くなる」「新築のツーバイフォー住宅なのに床を解体して下げると言われた」「使用する楽器の特徴に合わせた音響仕様と思えない」「過重量となるボックス型の施工を提案された」というもので、構造的・空間的リスクが大きいため提案を保留したということでした。

私の設計仕様では、防音壁は85~98ミリという厚さになり、間仕切り壁側では既存面から30ミリ程度しか厚くなりません。また天井は20~30ミリ、床は既存面より40ミリ程度厚くなるだけです。
*施工前と比較してもほとんど違和感はありません。

音響・防音設計の考え方に大きな違いがあります。(防音職人のコンセプト・設計仕様)
・薄いコンパクトな構造で費用対効果を高める。
・既存の建物構造を尊重し補強しながら耐久性を高める。
・木材を生かして相性の良い防音材を使用する。同時に音響調節を重視する。
・遮音、制振、吸音の機能を複合化して比較的軽量な対策を行い、建物にあまり負担をかけない。

木造家屋の構造的な特徴や安全性・耐久性などを十分に考慮した提案が前提になるべきだと思います。
*ツーバイフォー住宅の床を解体改造すると壁も歪むため論外です。むしろ既存を補強する工法が適切です。
*ボックス型の重量800kg以上の施工を行うと、ピアノ1台の重量を加算すると1000kgを超える重量になるので過重量となり耐久性が問題となる。

木造のリスクを避けながら、むしろ構造的な補強と音響・遮音性能をうまくバランスさせる工夫が重要だと、防音職人は考えています。