木造の防音と発泡断熱材(2016年6月号)

近年、戸建などの木造住宅の外壁内部に硬質系発泡断熱材が使用されるようになりましたが、これは高気密高断熱仕様を目的としたものです。

これにより、従来のグラスウールやロックウール断熱材を使用した住宅よりも、通常約10dBほど遮音性能が低下します。生活防音として、防音室としても不利になります。
*たとえば、従来工法の古い住宅がD-30の性能であるのに、最近の高気密高断熱工法のほうがD-20しかないという現場もあります。

自宅の目の前に生活幹線道路があり車の騒音が大きい場合は、室内に45dB以上の音が窓と壁から透過してくる状況になり、眠れなくなったり、騒音にさらされて不快な日々を送ることになります。

新築住宅を計画したり、中古住宅を購入される場合は、とくに注意する必要があります。たった10dBの遮音性能不足が生活空間の質を左右する場合があるのです。

また軟質系発泡断熱材についても、弱点となる周波数帯が複数生じるため、自分の気になる周波数の音と合致した場合は、その人にとって、上記のような遮音性能不足として体感されるようになります。これは製品や現場の工法、厚さなど諸条件によってばらつきがあります。

このような状況では、石膏ボードを重ねても改善しないことが多いです。石膏ボード自体が低音と高音域の遮音性能に弱点があるためです。薄い遮音シートを挟んでも効果はありません。