防音材の施工要領(2017年7月号)

大半の防音材・製品には、メーカーや専門業者が指定する施工要領というものがあります。

ところが防音の世界では、その施工要領(仕様・工法)が遮音欠損(遮音低下)を起こす致命的な要因になっているものがあります。

施主や一般の建築士、建築業者は、音響・防音の知識はほとんどありませんから、メーカーの指定内容が間違っていても気づきません。

なかには、私(防音職人:設計・コンサルティング担当)が、誤りを指摘して対案を出しても、まったく理解せずに、同じ失敗を繰り返す人が居ます。
*自己責任でおやりになればいいわけです。

私は約22年間、自宅マンションを実験台にした防音効果や耐久性の経年変化を見てきました。担当する多くの現場で精密な音測定を取引先の建築士に外注して一緒に分析してきました。
*地方の建築業者への施工要領などの指導も行っています。
*私の提案を生かすかどうかは、施主(依頼者)の良識・価値観にかかっています。

典型的な問題事例は、遮音材の隙間を意図的に数ミリあけて、コーキング材でシールする工法です。高音域の音だけでなく、125Hz以下の低音も音漏れします。
このような間違った施工要領を、ある大手のメーカー2社が推奨しています。ナンセンスだと思います。

優れた防音材であっても、工法などが不適切であれば遮音効果は大幅に低下します。