防音材の課題は固体音遮断性能にある(2019年12月号)

市販されている大半の防音材は固体伝播音遮断性能、いわゆる制振性能が弱いものが多く、耐久性を考慮すると費用対効果が低いです。

薄くて面密度の低い遮音シート、リサイクルゴムで作られた遮音ゴム、鉛シートなど制振性が弱く、空気伝播音(透過損失)でさえ弱点があります。

また、硬質な素材で造られた遮音パネルはつなぎ目に弱点があり、コインシデンスなど特定の周波数帯において、質量則を大幅に下回る、遮音性が低下する現象が起きます。

防音材は厚すぎると共振して振動音に同調するものもあり、適度な厚さと面密度・柔軟性が必要です。
そのノウハウは、市販品の建築材メーカーではなく、他分野の専門メーカーのほうが歴史も実績もあり信頼できます。

防音職人では25年以上の実践的経験や担当した防音室などでの音計測結果を踏まえて、専門メーカーごとに費用対効果の高い防音材を選定してきました。
それが、主に木造防音室やマンションの天井・床防音において活躍してきました。

防音設計の仕様も構造ごとに細かく工夫して仕様を確立しました。

これからも費用対効果の高い防音材を活用して薄くて高性能な防音構造を提案していきたいと考えています。

ちなみに、固定伝播音の遮音性がある面密度の大きな防音材は、薄くても透過損失(遮音性能)が大きく使いやすいのが特長です。