ここでは新築の戸建住宅(木造)の防音対策の工夫・留意点について、いくつか述べます。それは新築を計画する施主や設計施工を担当する建築業者にとって基本となる内容です。

遮音効果を高める工夫

防音設計のマニュアルには記載されていないことですが、とても重要なことです。石膏ボード、合板、ガラス、硬質遮音パネルには、ある周波数において遮音低下するコインシデンスが必ず起こります。
構造によって共振透過する周波数が発生するため、分厚い防音構造であっても仕様によっては遮音性能が大幅に低下する現象が起きます。

無駄に分厚い壁などは、居室空間や音楽防音室などを狭くするだけで費用対効果の低い住宅になってしまうことを示しています。

コインシデンスを抑える基本的な工夫は、周波数特性の異なる素材・製品を組み合わせて構築することです。特定の共振透過を防ぐには実績のある防音材を併用することが有効です。

ちなみに窓や出入口において、分厚い防音ガラス製品を使用する場合であっても、同じ特性のサッシュを二重にすると共振が起こるため、遮音効果は半減します。

新築住宅には吸音材と換気システムが重要

最近の新築住宅には高気密高断熱を重視した設計施工仕様が増えていますが、従来型の工法に比べて発泡断熱材により吸音性能は大きく低下しています。

吸音性が低下すると木造住宅の場合は、大幅に遮音性能が低下します。壁や天井などの防音能力を高めるには、ロックウール・ポリエチレンなどの繊維で造られた吸音断熱材を使用することが効果的です。

また、建物全体の換気システムは、床下換気と壁内通気及び室内・天井裏換気を分けて構成したほうが、防音対策がしやすいです。木造建物の寿命も長くなります。

換気口は新築計画の段階で、音漏れや戸外からの騒音侵入のリスクの少ない位置に設置することが重要です。
*防音フードなどの製品を活用すると、少ない費用で10~15dB程度、遮音効果を高めることができます。