木造音楽室の厚さ38ミリの防音壁(2017年3月号)
先月完了した木造住宅2階に構築したピアノ防音室(ピアノ教室)の音響と遮音効果のチェックを行いました。大型グランドピアノ(スタインウェイ、ヤマハC5)2台を設置した状態で普通に演奏していただきました。
*スタインウェイは未だ調律されていませんでしたが、音色が良く音がよく響いていました。
既存の防音ドアと室内間仕切り壁はそのまま使いましたので、音漏れがするのは依頼者ご本人(プロのピアニスト)も承知のうえでのご依頼(契約業務)でした。今回の主な目的は近所への音漏れを大幅にカットできるピアノ防音室・教室としてリフォームすることです。
大型ピアノを約8.5帖に2台入れるので、部屋の片側だけ人が回り込んで掃除が出来るように片寄せての配置になりましたが、防音計画の段階での想定通りです。なんとか収まりました。
防音壁を非常に薄くしないと、ピアノだけではなく、ベンチタイプの家具すら置けないという状況でした。
検討した結果、今まで最も薄い防音壁(厚さ42ミリ)の仕様を見直して、使用する構成を一部入れ替え、厚さ38ミリとしました。
依頼者ご本人と私の耳では戸外での音漏れは従前の1/4以下になった体感でした。室内内壁でさえ音漏れは半減しています。
既存の防音ドア(D30~35レベル)よりも施工後の間仕切り壁のほうが音漏れが小さいので、間仕切りはD-40程度、外壁側防音壁(既存外壁を含めて)はD-55程度は遮音性能があると思われます。
*スタインウェイをプロのピアニストが普通に演奏した状態で聴きましたので間違いないと思います。
*住宅の周りは比較的静かな場所です。(戸建住宅とマンションしか建物はありません)
今回の大きな収穫は、厚さ38ミリの防音壁がちゃんと機能したことです。最薄の対策仕様を更新することができました。
今回の現場はご予算と部屋の広さ・天井高の制約で、床仕上げはタイルカーペットにして、床下補強を行いました。ちなみに、床の対策は床の補強材と防音材・タイルカーペットを含めて、厚さ37ミリです。
これも床補強を含めた最薄の設計仕様となりました。