素材のコインシデンス・遮音特性を重視した防音室(2017年2月号)

昨日の防音相談は、木造新築住宅のヴァイオリンとピアノのための音楽防音室の対策と見積りの話でした。
約5帖と複数の楽器を置くには、ちょっと狭いのですが、将来はヴァイオリンのほか、電子ピアノ、アップライトピアノを設置する計画です。

このため、天井も壁も薄い防音構造でD-50程度の遮音性能を確保することが前提です。防音職人のほか数社の相見積となる予定でしたが、いずれも防音壁が150~180ミリと厚いうえに、ご予算を100万円以上オーバーしているので、振り出しにもどって専門業者を探されたようです。

防音職人が薄い防音構造を得意としていることに着目され、相談予約をされたわけです。昨日の打ち合せでは対策の方針と仕組みを「素材の持つコインシデンス、遮音特性」をもとにご説明しました。
*使用する防音材のサンプルを持参して、実際に触ったり、臭いを確かめていただきました。

これならば大丈夫と安心されたようで、私のほうで設計・施工する前提で提案書を急いで作成することになりました。ご納得いただいたポイントは構造的な薄さと費用対効果、構造的な安全性、使用する材料が安心できるリサイクル素材、天然素材、木材に限定する仕様という点でした。
*ただし、ご予算と空間的な制約をクリアするため、床はカーペット敷き、天井は吸音化粧板仕上げというお約束になりました。

他社の提案は、いずれも部屋がかなり狭くなるだけでなく、ほとんどコインシデンスや遮音欠損などを考慮していない、厚くするだけの力任せの構造でした。
これでは希望される楽器が入らないのです。それに過重量となるので、構造計算が必要になるなどリスクのある提案でした。

私の音響・防音設計は、素材のコインシデンスと周波数別遮音特性を考慮し、木材を活用した仕様のため、薄い防音対策でも他社と同等以上の効果を出すことができます。
*質量則を超えた防音効果を出せるのです。