防音工事の費用対効果(2023年11月号)

防音工事の対象となる部屋が狭いほど、できるだけ薄い防音構造が要求されるため難易度が上がります。
ですが、専門業者によっては費用対効果や金額がかなり差が出ます。

防音工事の金額が安いときは要注意
一般的に防音工事(新築・増改築・リフォーム)の費用が他の専門業者に比べてかなり安い場合、主にいくつかの理由が考えられます。
①専門的な防音材の使用量が少ない又は使用していない
*石膏ボードを多用している仕様は要注意。複数の周波数帯において弱点が生じる。
*吸音材にグラスウールを使用する(吸音率が低い)。
*遮音パネルを天井と壁に使用する(コインシデンスや隙間から音漏れ)。
*音響が悪化したり、壁・床の共振により防音効果が低下する。
②下請け業者(代理店など)に丸投げしている
*元請けが現場をチェックしないで、ピンハネする。
③最初から全ての現場に対して防音設計仕様が同じである
*現場の状況や特性を考慮しない金太郎飴のような防音設計。
*音源や楽器などの音の特性に応じた設計が行われていない。
などのリスクが潜んでいます。

木造には最適な防音設計・施工要領がある
現場の間取りや近所などへの防音対策に対応したレベル設定は木造とコンクリート構造では異なります。
構造体の遮音性や固体音伝播の特性が異なるため、建物構造によって防音設計仕様を、現場ごとに検討するのが基本です。
すべての現場において同じ設計仕様を適用することは、費用対効果や防音構造の適正な厚さ・重量そのものを無視することになります。

例えば、約6帖程度の木造ピアノ防音室において、分厚い防音壁や天井・床の厚さ(マス)に頼る設計仕様・施工は、物理的に無理があります。
できる限り薄い音響・防音構造が要求される現場において、建物構造や間取り・工法、防音室の用途などを踏まえてフレキシブルに対応する必要があります。

特に木造音楽室は建物用途に応じた細かい設計仕様・施工要領を検討する必要があり、遮音にシフトした力任せの対策は費用対効果の低い防音室となります。天井裏や床下空間、壁内の通気構造など木造の在来工法を生かした防音設計が私(防音職人)の理想です。

もしも、防音専門業者選びに困ったら、遠慮しないでセカンドオピニオンとなる専門家を探すべきです。必ず契約する前に早めに相談したほうが良いです。
*投稿記事(詳しくはこちらをご参照ください):防音工事の金額と効果