防音設計技術のマニュアル(2024年3月号)

木造防音室や木造住宅・マンションなど住宅の生活防音技術は歴史が浅く、専門資料やネット上の情報が分散しており、マニュアルとして確立されていない分野です。
東京に集まる多くの専門業者や設計担当者・施工担当の職人の保有するノウハウはお互いブラックボックスであり、見えない世界です。
このため、実践経験や実例情報などを経験値として蓄積しながら自分で防音設計マニュアルを創るしか無いのです。

依頼者の防音対策完了後の生の声
私のモチベーションを支えているのは、業務完了後にご報告いただいている依頼者の声です。課題を残した案件でも向き合っています。
中には、依頼者自らが実験台になることを申し出ていただいた現場もありました。本当にありがたい貴重な資料となり、防音設計の補正データとして生かしてきました。

前例のない建築現場を一人の専門家に委ねることは、とても勇気のいることです。今でも、「ある依頼者の言葉」が胸に残っています。
「いろいろな専門業者や建築士に期待を裏切られ、防音職人を最後の砦と表現されたある女性の声」「施主自らが苦労して資料を集めながら、複数の専門家へのヒアリングを経て防音職人を指名された言葉」など生涯忘れることはないでしょう。

机上の理論の補正
防音設計の机上の理論は、現場の防音効果と乖離することは珍しくなく、その都度、現場の測定データなどによって補正する必要があります。
防音職人では、主に会社勤め時代に「机上の理論」である資料を集め、独立開業後に現場実務を通じて、防音設計理論を補正してきました。
今年で、その作業も約20年が経過します。

あた、木造住宅や木造音楽室は、ただ単に遮音性能を強化すれば良い環境が出来るわけではなく、落ち着いた生活空間や良好な音響は、木材・木製品を生かすことで実現できるものです。
コンクリート構造の建物と木造では、防音設計の仕様・工法は異なります。特に木造建物は、数多くの経験値が生きる世界だと、私は考えています。

防音設計技術のマニュアルは、自分で試行錯誤しながら作り上げるものだと思います。