伝統的工法を生かした木造音楽室(2023年12月号)

最近の若い建築士や防音室のエンジニアは、木造の伝統的工法を軽視する傾向が強く、木材・木製品の特長や効果を体験することなく、新しい製品に飛びつき、検証することなく設計仕様に入れます。
現場の職人の意見を設計仕様に反映させないで、自社の製品や設計・工法を盲目的にトレースするだけです。

これが致命的な欠陥を見落としたり、改善するための柔軟な思考を伴わない安易な施工に直結することが多いです。この業界の防音設計技術が進歩しない主な要因となっています。

木造軸組在来工法と音響・防音対策
木造防音室において、在来工法が弱点となることは絶対に有りません。むしろ、ツーバイ工法の方が共振しやすいので圧倒的に不利になり、費用もかさみます。

防湿・通気構造は、防音構造と区分して対策できますので、在来工法の仕組みは通常通り施工するのが前提となります。
なので、床下空間を潰してモルタルによる湿式防振工法を採用すると、木部が湿気で劣化しやすくなり、音響も悪くなりますので、木造には不適切な工法と言えます。木造建物の寿命と将来のメンテを考慮して施工方法を選択してください。
*詳細は次の記事を参照してください:伝統的工法と木造防音室

特にピアノ防音室の音響を重視する場合は、木造軸組在来工法がベストであることは、プロのピアニスト自身の体験が証明してきます。

今年(2023年)も多くの木造音楽室のご相談と依頼をいただきました。現在、設計準備中の現場も複数動いています。
防音職人は、数多くの案件を同時並行して検討することは控えており、時間的に無理な場合は辞退させていただくこともあります。
*もちろん、お待ちいただければ、必ず約束は守ります。

コロナ禍を契機として、国立駅南口における防音相談を休止しました。
諸経費を節約しながら、自宅マンションの仕事場で防音相談をお受けするのが普通のスタイルとなりました。経費を節約した分は、防音設計費用を値引きして依頼者に還元しています。
*仕事場は国立音楽大学附属小学校の近所にあります。
*音響・防音設計の主な考え方は次のブログで投稿していますので、ご覧いただければ幸いです。→防音職人note