木造の遮音特性(2025年2月号)
一般的に外壁の遮音性能について「木造」と「マンションなどコンクリート造」を同じ標準仕様で比較すると、コンクリート造のほうが上です。
ですが、仮に同じ厚さで構築するならば、木造住宅の外壁を約15センチの戸建コンクリート造の住宅と同等に性能確保をすることが出来ます。
それは木造は基本的に吸音層との複層構造ですので、遮音性能を確保するのは「外装材+軸組・内部の吸音断熱層+内装材」という基本仕様で、遮音+吸音+遮音というサンドイッチのような構造で対処します。コンクリートの戸建住宅はほぼ単層構造です。コンクリート躯体に外装材及び内装材を薄皮のように仕上げる構造です。吸音層というものが有りません。
なので、木造住宅の外装材に、面密度の大きなモルタル仕上げを採用すると、吸音断熱材を厚さ10センチ程度のグラスウールやロックウールにして、内装材に少し工夫するだけで、同じ厚さで同等の遮音性能を確保できます。
木造住宅は、「外装材」と「吸音断熱層」「内装材」の3つの複層構造を総合して、音を減衰させ、外装材と内装材の遮音性をアップさせると、D-45からD-50の防音性能(遮音性能)が確保できます。
この場合、内装材に薄い防音材を併用します。
木造住宅とコンクリート住宅の特性を理解しないで、思い込みで計画しないことが大事です。それぞれの遮音特性を理解したうえで、適正な防音設計を行えば、必要な遮音性能は確保できます。