木造住宅の壁と窓の遮音対策(2013年6月号)

 今回のテーマは、木造住宅の問合せ・防音相談で最も多い、「窓と外壁」の防音対策の基本的な考え方です。
 たとえば、戸外からの騒音対策や自室で楽器を演奏する際の音漏れ対策ですが、問合わせの中で「窓を防音すれば効果があるでしょうか。」という質問が多く、これは窓のほうが壁よりも遮音性が低いという前提で考えていると思います。

 最近の木造住宅は、注文でも建売でも壁と窓の遮音性能は大差なく、むしろ気密性の高い窓であれば、外壁よりも遮音性が高い場合が少なくありません。
 厚さ5~6ミリ程度の厚さのガラス窓は、500Hzにおいて概ね25dBの遮音性能(透過損失)をもっていますので、外壁と同等と考えたほうが良いでしょう。

 このため、防音対策として、内窓を設置して二重化を図るだけでなく、壁の遮音補強も必要になります。

 ちなみに、外壁の遮音性能は、壁の内部に充てんされている断熱材の吸音性能や外装の構造によって左右されます。必ずしも高気密・高断熱仕様が遮音性が高いわけではありません。
 高気密の発泡材仕様のほうが吸音性が低いことが多く、その結果、防音能力が低いことがあります。

 専門家に防音相談をされる場合は、内装だけでなく、内部と外装の構造・仕様を確認してから、間取り図など設計図と一緒に情報を伝えたほうが正確な対策を検討できます。