木造防音室の薄いコンパクト防音(2023年3月号)

一般住宅や木造防音室の防音設計ができる専門家が少ないと、相談者から言われます。

では、本当に専門家なのかというと、異分野から開業した建築業者が近年増えており、なかなか、一般の人には判別できません。
見分けるポイントには主に次のような諸点があります。

・理想的な遮音材、吸音材、制振材をそれぞれ説明できるかどうか。

・素材の周波数特性(透過損失など)を理解しているか。

・質量則を超えた相乗効果や大幅に遮音低下するコインシンデンスを考慮しているか。

この3つの項目が防音設計の常識として重要です。
これらが理解できない設計者には、薄いコンパクトな防音設計はできません。

木造住宅を含めた木造建物の防音室の具体的な事例そのものが、ネット上の情報や専門書籍類として公開されていないため、多くの専門家は自分で努力して実践しながら試行錯誤しているからです。

また、力任せのマスの厚さで遮音性能を高める工法は、物理的に木造の構造体への負担が大きく、現実的ではありませんし、費用対効果も低くなります。

質量則を超えた相乗効果を生み出す防音設計・施工は、実際の現場を精密に測定したり分析しなければ確立することは出来ないです。
机上の理論や簡易的な理論式で解明することは出来ません。

防音職人では、多くの依頼者や職人・提携先の建築士の協力をいただきながら、コンパクトな防音設計・施工要領を確立してきました。

今後も、更により良い音響・防音仕様を求めて研鑽を積み重ねて行きたと考えています。
*関連記事:薄い防音設計の基本
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※仕事場(西国立)での防音相談は、木造住宅と音楽防音室に限定させていただきますが、相談内容によっては柔軟に対応しますので、お気軽にお問合せ下さい。