木造ピアノ室と木材・木製品(2024年8月号)

新築の木造ピアノ防音室を設計・施工するために最初に「計画書」および「基本設計図」を作成するわけですが、全体を設計統括する建築士は、自分ができない専門的な内容については、施主と相談して外注先を探すことになります。

具体的な地盤改良・地質調査、プレカット用の木材仕入れの可否を含めた個別計画の前に「基本設計書」を作成します。

この段階で「音響・防音設計」の内容と整合した確認申請用の図面作成を行いますが、スケジュール的にも、この段階が最も重要であり、新築建物のレベルは、この段階で概ね決定されます。そして、全体の費用の概算を検討します。
*新築のための資金確保を目的とした融資の申請も、全体の概算や計画内容の目途がたった段階で行います。

木造ピアノ室の設計・施工費用を算出するに当たり、防音設計及び専門的な防音材の概算は比較的算出しやすいのですが、木材・木製品の費用が近年高騰しているため、この段階の費用的な可否判断が極めて重要です。

私の担当の音響・防音設計で使用する「無垢材フローリング」「軟質シージングボード」「軸組のプレカット材」「合板類」は必要不可欠な建築材です。
これがピアノ室の音響・防音レベルを左右します。
専門的な防音材は標準仕様がほぼ決まっていますので、建築の総予算に収まれば発注の目途は立ちます。

むしろ、木材・木製品のほうが費用的には大きく、確認申請段階において予算を確保しないと実現性が危うくなります。

一般的な専門業者は、防音室の防音材ばかり気にしますが、木造ピアノ室は、木材・木製品の確保が防音材以上に重要です。

木造ピアノ防音室は「木材・木製品と防音材の組合せ」で性能が決まります。
新築を計画されている施主のかたがたは、このことを忘れないでください。