木造防音室と遮音パネル工法(2019年3月号)

木造防音室の設計仕様に関するコンサルティングを依頼されることがありますが、概ね大手業者は防音壁に「遮音パネル(石膏ボード+遮音材)」を張り、音響化粧板を重ねる工法です。

この工法の主な問題は中高音域の周波数帯の音漏れが目立つという弱点があり、グランドピアノとの音響的なマッチにも悪影響があります。

というのは遮断できる周波数帯の音が偏るため、特定の周波数帯の反射音が室内に残響します。
アンバランスな音響になります。
特に幅広い音域が特徴であるピアノ室としては向かない工法です。
*ピアノは低周波音から4000Hzを超える高い周波数まで奏でる楽器です。

また、遮音パネルのつなぎ目からの音漏れは工法的な問題です。既製品だけを重ねると限界があります。現場では手作りの防音設計が必要です。

良好な音響を創るには木材製品の活用が重要です。音響化粧板の下地にも木材は重要であり、非常に相性が良いのです。

一般的な合板類や無垢板材の組合せは、相性の良い防音材を重ねることによって音響と防音効果が向上します。
既製品の遮音パネルには限界があります。