ある新築木造住宅の界壁の防音相談をお受けしました。
主な内容は施主の音楽用趣味室と賃貸併用住居が隣接する界壁の防音効果を改善することでした。すでに着工して工事は予定の半分以上を建設している段階でしたが、界壁の遮音効果が低いのを施主が気づき、コンサルティングと防音材提供をリクエストされました。

現場を調査した結果、次のような問題が明らかになりました。
・壁内部の吸音材の効果が小さい(セルロースファイバー充てん)。
・この吸音材に石膏ボードと鉛シート、生ゴムシートを組み合わせているが、いずれも比較的高音域の音が抜けている。(同じ弱点をもっている素材が使用されている)
・遮音材やボードのつなぎ目や界壁の上端・床面付近に隙間があり、高い周波数の音が漏れている。

要するに、つなぎ目や隙間対策をおろそかにしているうえに、使用している遮音材・吸音材が比較的高い周波数帯の遮音能力が弱いという問題がありました。
施工の精度と素材の選択に明らかな問題がありましたので、遮音材の一部追加と、吸音材の全面的入れ替えを提案しました。(追加した遮音材は高音域の遮音に強いもの、吸音材は幅広い周波数帯の吸音性が高いものを選定)
*これで15dB程度は改善される見込みです。

やはり、木造住宅の場合は、防音材の選定と施工方法によって、防音効果に差が出ますので、新築の計画の段階から、専門的な検討を行ったほうが費用対効果は高くなります。
工事が完了してから追加対策を行うと無駄が出ます。

今回の事例は実際に完成する前に遮音欠損の原因を把握することができて幸いでした。

ちなみに、壁内部に充填するセルロースファイバーはグラスウールやロックウール、ポリエチレンウールに比べて経年変化で沈下して上部に隙間が生じやすい製品ですので、防音室には向かない製品です。
吸音効果の持続や耐用年数を考えると、ロックウール、ポリエチレンウール(ポリエステルウール)製品のほうが無難です。