安全・快適性と防音施工(2014年11月号)

いままで防音職人の他のブログやコンテンツ(固定ページ)でもお伝えしてきましたが、遮音材と接着工法のリスクについて再度記述します。

昨年、ある相談者が、石膏ボードを柔軟接着剤で張り合わせてピアノ防音室を施工した結果、ピアノ教室の生徒さん(主に小学生・中学生)が「目がちかちかする、のどが渇くような不快感」を訴えて体調不良となり、ピアノ教室の使用を中止されたそうです。(施工はご自身の知人業者)
これは明らかに、接着剤の使用量が多量であったことが要因として考えられます。最近の接着剤は有害物質の含有量が少ないため速乾性のものなら、工事完了後しばらくして問題なく室内を使用できますが、柔軟性接着剤の場合、長期間柔軟性を保持するため、有害物質が抜けるまで時間がかかるようです。

一方、鉛の遮音パネルを使用した防音室の相談では、音の反響が酷くなった割には室外への音漏れが解消されず、施工をやり直したいというご相談でした。楽器防音室として不快な環境になったわけです。
鉛のボードは音を吸収せず、つなぎ目から音漏れします。制振効果もほとんどないため、共振や反響が改善されず、このような状況になります。木造には向かない製品です。
また、私の体験ではマンションのGL工法への使用では全く防音効果は出ませんでした。

上記のような製品仕様、工法を提案する業者は、住宅や木造家屋の防音対策・音響について素人です。プロは使用しない防音施工なのです。遮音パネル既製品のみで施工を提案する業者は要注意です。
専門業者に防音施工・設計を依頼される方は、不安がある場合は、複数の専門業者に具体的な提案書を出してもらい、慎重に比較したほうが良いと思います。

防音職人では、上記のような施工は一切行っていません。出来る限り音響も考慮してリスクの少ない工法をご提案しています。