木造在来工法を活かす防音室(2019年1月号)

昨年は、木造の在来工法を活かす防音室の現場をいくつか担当する一方で、それを台無しにする現場の相談をお受けしました。

実際に音測定調査や複数の耳で確認すると、在来軸組工法をそのまま生かして音響・防音設計を行ったピアノ防音室は、すばらしい音が響きました。防音効果も十分な状況です。

プロ(ピアノ教室の先生を含む)のピアニストや音楽家の評価は、在来木造そのままの音楽室は音の響きが豊かで伸びると言います。とくに床に無垢材のフローリング仕上げを採用した音楽教室は、ピアノでもリトミックでも体にやさしいと言われます。

木造音楽室は「建物全体で鳴る楽器」と言われます。木材は適度に音を吸収し、適度に反響するので外国では自分の木造音楽室を好んで建築します。

長時間演奏に向いているのも木造の特長です。これを床や壁を解体してコンクリートや鉄骨構造に改造するのは、まさに「台無し」です。しかもコンクリートが数年間放出する湿気で木部が痛むので、建物の寿命が短くなります。

在来木造工法でピアノなど練習室や教室を計画している人は、木造に詳しい音響・防音設計の技術者に相談されることをお勧めします。