遮音材と防音効果(2022年1月号)

遮音材には、専門的な防音材と一般的な建築材(石膏ボード・ガラス・合板類など)がありますが、コンクリート躯体を除けば、主に「遮音材の特徴」「周波数帯におけるコインシデンス」「複合的な相乗効果」によって、防音効果は左右されます。

遮音材の特徴には、透過損失に大きな影響を与える面密度、硬質・軟質など素材の種類などがあります。

コインシデンスと呼ばれる特定の周波数帯における質量則を大幅に下回る遮音低下が起きやすい素材として、石膏ボード・ガラス・金属及び硬質シージングボードなどがあります。
共通点は硬質な遮音材ということになりますが、板状の硬質遮音材の大半の製品が、複数の周波数帯においてコインシデンスを起こすため、重ねても弱点が生じます。

要するに費用対効果や相乗効果が低くくなります。

一方で、面密度の大きな軟質遮音材や構造用合板は、コインシデンスが殆ど無かったり、緩やかになる傾向があり、重ねると確実に幅広い周波数帯において防音効果が高まります。
*構造用合板は断面を見ると複数の材が積層されているのが見えますが、これがコインシデンスを緩やかにする要因になっています。金属よりも音を吸収しやすい木材で出来ている点も重要です。

防音設計においては、コインシデンスの少ない製品を多用したほうが防音効果は高くなり、構造体の厚さも抑えることができます。
*予算的な制約が厳しい現場では、一般的な建築材であっても、上記のような性質の異なる複数の材を併用することによって、費用対効果をアップさせることができます。

遮音材の製品選定や組合せ方によって、「相乗効果」「費用対効果」などが左右されることが多いのです。軟質遮音材や合板は、工夫次第で、単一の硬質遮音材を多用するよりも、軽量化を図ることが可能になります。
構造的な制約がある一般的な住宅・木造建物における防音設計を最適化出来ます。

なお、軟質遮音材のうち、リサイクルゴムのチップを接着・圧縮して作られた製品は、耐用年数が短く、劣化しやすいだけでなく、品質が安定しないので要注意です。