防音室における薄い対策のメリット(2014年12月号)

ピアノやヴァイオリンなどの防音室で問題になるのは費用対効果と空間的な制約です。遮音性能や音響的な効果を除けば、部屋が狭くなるという点は、楽器の使い勝手が悪くなるだけでなく、コスト的にも無駄があります。

今回の記事では、一般的な専門業者が標準仕様としている防音施工を6帖程度の部屋に適用するとどうなるか、防音職人の標準仕様と比較して、面積・空間的制約について考えてみました。

専門業者が行うD45~50レベルの遮音仕様は、既存壁の内側に約180ミリの防音壁、既存天井から約200ミリ下げ、床を約100ミリ上げるというものが多いようです。
これを約6帖の室内に施工すると、部屋の面積は6帖が約4.6帖になります。1.4帖も狭くなります。床から天井までの高さは、2メートル40センチの従前の状況が、施工後には30センチも低くなります。

ヴァイオリンの場合は、少し背の高い演奏者だと弓が天井に接触することもあり、練習には大きな支障が出ます。ストレスも溜まりますね。
グランドピアノの場合は、配置に大きな制約があり、椅子や収納家具が自由に配置できません。天井が低くなることも音響的にはマイナスです。

防音職人の標準仕様は、外壁側の防音壁が約85~90ミリ、間仕切り壁側が約20ミリ増設するだけですので、約0.5帖程度の減少になります。ほかの業者との差は1帖弱です。
天井は既存面から約20~30ミリ下がり、床は既存面から40~45ミリ上がります。最大でも75ミリしか低くなりませんので、ヴァイオリンの演奏にも問題がありません。

コストと性能を比較しても、既往事例では防音職人担当現場での音響測定の結果、D50以上確保されることが多く、費用も税込みで200万円以下で納まっています。D-45レベルのもっと薄い施工では、税込み150万円以内で納めている事例も少なくありません。(内窓1か所、防音ドアD-35レベル1か所を含む)

要するに現場の状況に応じて工夫すれば、費用対効果を落とさずに、コンパクトに防音室を構築することが可能なのです。