費用対効果とプロの施工(2020年6月号)

今まで比較的薄い防音構造の設計・施工にこだわってきた理由は「費用対効果」です。

相談者は少ない予算で大きな希望を抱く。それは理想ですが、現実的には無理なことが多いです。
そのギャップを小さくするのが「費用対効果」という目標です。
90点から100点を実現する性能は難しいですが、70点から80点程度なら、可能性はあります。

費用対効果を高めるには、空間の有効利用と防音材・その他一般建材の組合せ等の工夫が必要です。
*ノウハウを説明すると、コロンブスの卵と同じ様に、仕組みは案外シンプルなものです。
*今まで、当ブログで投稿してきた記事にも説明しています。キーワードは素材の周波数特性と相乗効果です。

とくに、最近は不況により自宅に仕事場や音楽練習室を併設するケースが増えていますので、「限られたスペースを防音化」することが課題です。
そうすると、必然的に薄い防音構造が不可欠になります。

予算的な事情で、DIYと職人の施工を組み合わせることが増えます。
プロの建築業者には常識である留意点が、素人には思いつかない、技術的に難しいという状況は珍しくないです。

そこで、昨年の秋以降、防音職人では難しい箇所は提携先などプロの施工で処理し、比較的やりやすい所はDIYを組み合わせることを推奨しています。その分、人件費を節約できます。

費用対効果は、適正な防音設計と防音材があれば高めることができます。

相談の際には、具体的な仕上げや防音レベルなどを提示していただければ、提案書も作りやすくなるだけでなく、実現性の可否も速やかに判断できます。

私の方も検討作業の手間が省けると、コンサルティング・設計費用を抑えることができます。
最近の緊急事態や不況を考慮すれば、当然、みなさん予算は厳しくなりますので、限られた空間を出来る限り、効果的に活用することが望まれます。

また、手作りの防音対策製品を併用することで、プロに任せる防音工事費用を軽減できます。臨機応変にDIYとプロの施工を組合せた計画を立案することが費用対効果のアップにつながります。

余談ですが、防音職人ような零細専門業者が、今日までやってこれたのは、「薄いコンパクト防音技術」のお蔭です。
他の専門業者が行う分厚い防音構造の対極にある手法が差別化を図れた主な要因です。
*この手法を確立してから10年以上が経過しました。