木造防音室と施工要領(2020年臨時号)

最近、私が運営する防音職人のウェブサイト・コンテンツ、防音材のリストなどを参考に自社で設計された木造防音室のコンサルティングと防音材支給を打診された件が2件ありました。

中には詳しい設計図をご提示いただいた現場もありましたが、詳細をチェックすると、防音材の施工手順や下地合板を含めた一般的な建材の選択、納まりなど気になる箇所が多々あり、このまま防音材を発注するのは無理と判断しました。

私のウェブサイトのような音響・防音効果を期待されていると思いますので、見様見真似は建築会社や建築士でも相当難しいことなのが実証できました。
*私のウェブサイトや防音材のリストを見るだけで、正確な木造防音室の設計施工が出来るなら、誰も苦労はしません。
*防音設計の肝は、防音材の選択・組合せだけでなく、木造建物の構造詳細を理解した軸組・下地構造の構築そのものが重要です。吸音材・断熱材の選択も不可欠です。
*断面図だけでなく、詳細な施工要領書も必要です。

むしろ、防音工事の現場で担当する大工職人は、断面の詳細な納まりや防音材の施工要領がないと自信を持って施工できないのです。防音設計とは「仕様書(計画書含む)」「施工要領」「施工説明図」の3つがセットになります。

建築会社からのリクエストは、要するに防音設計を自社のノウハウとして確立したい、市販の防音材などを活用して、自社が担当する現場に適用したいということです。
私の方は他の現場でノウハウを流用されると、企業秘密・オリジナル技術が流出しますので、承諾するわけには行かないのです。

もちろん、自己責任で私の防音材を使いたいというリクエストでしたら、施工上の問題がない限りお受けします。
ただし、耐久性や床鳴りなど不具合が起きるリスクがなければの話です。
私もリスクに目をつぶって防音材だけ発注するというような無責任なことは出来ませんので、事前に内容をチェックさせていただいています。