防音材メーカーと防音設計は別物(2020年10月号)

最も勘違いしたり、相談されるのは、大手メーカーの防音建材会社が作成した防音室などの提案書です。
しかも、マンションでも木造でも同じような金太郎飴タイプの仕様書を提示されるそうです。

見積金額も非常に高く、相談者の予算を大幅に超過しているので、私の方へ相談されることが少なくないです。防音ドアや防音換気扇、一般的な建材は普通に使用しても問題ないのですが、防音材は施工要領が間違っている製品があります。

これは他の大手防音材メーカーも同様であるので、スタッフや企業そのものが防音設計や工事のノウハウを持っていないと思われます。
防音工事の施工要領を知らなければ防音設計そのものが絵に描いた餅になります。

要するに防音設計が出来る専門業者と防音材メーカーは別物です。それが実情です。

これが最も誤解される点ですが、建築士も同様な認識ですから、一般の施主が勘違いしても不思議はないです。

ちなみに、私が設計する住宅の生活防音や防音室に使用する防音材は、大手メーカーの市販品ではなく、施主の指定がない限り、大半がプロ仕様の専門メーカーの受注生産品です。

これらはすべて建築以外の分野(土木、機械設備、先端産業)で開発された製品を建築現場で使用できるように加工されたものです。

施工要領そのものが公表されておらず、そのノウハウは専門家によって異なります。

また、費用対効果や質量則などを超える相乗効果を発揮するには、独自の理論と設計仕様があり、専門家個人の技術力や経験値で差が出ます。

とくに木造の防音設計はコンクリート造のマンションとは異なる留意点が有り、遮音材にシフトした質量則では無理があります。