防音施工における隙間対策(2020年11月号)

音には周波数があり、低周波音のように波長が長いものから、高周波のように波長の短いものがあります。
*通常の防音対策で有効な音の周波数帯は、概ね30Hzから5000Hzです。

この周波数特性により、防音施工における隙間処理の重要性も変化します。周波数が高くなると小さな隙間から音漏れしますが、低周波音は小さな隙間からは漏れません。面材そのものを透過します。

通常の生活騒音は、63Hz以上の可聴音が主成分のため、隙間処理は重要であり、床においても概ね100Hz以上の音は隙間から漏れます。

例えば、床の遮音材を数ミリ空けて施工し、つなぎ目をコーキング材でシールしても、つなぎ目が弱点になります。それはコーキング材は遮音材よりも密度が小さく、軽量音ですら抜けていくからです。
*防音材は通常は突き付けて隙間を出来る限り無くしてから、遮音テープやブチルテープ・気密テープでシールします。遮音欠損を少なくすると共に面材の口が開かないようにするためです。

防音材の隙間対策をしないと、遮音性能が5dB以上低下します。周波数帯によっては10dB程度低下する場合があります。10dB程度遮音性が低下すると、人間の耳には音漏れが倍近く大きくなるように体感されます。
*D-20以上の遮音層を施工しても、隙間があると防音効果が半減する場合があります。
*音の周波数が高くなるほど、小さな隙間から抜けていきます。

費用対効果を高めるには、隙間対策はかなり重要です。
人の声やピアノなど楽器の防音対策には、隙間処理が不可欠です。下の画像は音の周波数の参考事例です。環境省の分類で作成されたものです。

音の周波数