防音効果と構造体の厚さ(2021年8月号)
ときどき防音相談や提案書の段階で、「防音効果は厚くて重いほうが有利でしょうか」と質問されます。
質量則のみで判定する場合は、基本的に重くて厚いほう遮音性が高いという計算になります。
ですが、これは素材の吸音性や音エネルギーを効率よく減衰する事、固体音の制振性などを無視している机上の理論です。
専門業者が提示する防音効果や構造体の厚さの詳細を見なければ分析はできません。
空気音の遮音性能(透過損失)だけに着目しても、質量則だけでは防音効果は予測することが出来ないのです。
防音設計の基本である「遮音」「吸音」「制振」の3つの機能は、防音材などの素材の特性や構造体の軸組など下地の剛性を含めて総合的に判断します。
また、施工する構造体には遮音特性があり、周波数ごとに弱点が生じるのは避けられないので、これを緩和すること、遮音欠損を抑える施工要領に忠実に施工することが重要になります。
同じ様な周波数帯に遮音上の弱点がある防音材を重ねたり、分厚い構造を構築しても費用対効果が低くなります。
防音職人では、木造など建物構造・仕様に応じた、効果的な仕様を提案し、施工を担当する業者(職人・建築士)が確実に実行できるように、詳細な説明図・施工要領を提示します。
同時に、薄くても遮音性能の高い専門の防音材を必要に応じて現場に納品しています。
これによって、比較的薄い防音構造で、高い遮音性能を確保しています。