音響・防音効果を左右する基本事項(2022年6月号)

今までの投稿・事例報告などと重複するかもしれませんが、主な重要事項に改めて言及したいと思います。
今回は、主に木造(住宅・防音室)を対象にして述べます。

戸外からの騒音及び建物内部の生活音対策、音楽防音室(工作室を含む)に大別します。

前者の生活防音は次の項目が重要です。
・建物内部(天井、壁、床下)に使用される吸音断熱材の種類と厚さ密度
 *例えば、発泡材とグラスウール・ロックウールによる吸音率の違い
・外装材、内装材の面密度と厚さおよび素材の種類
 *ALC、サイディング、モルタル仕上げ、石膏ボードなど
・専門の遮音材の面密度、素材特性
 *硬質系、軟質系による特性(コインシデンスなど)の違い
 *遮音材1枚の面密度は約6kg/m2以上を推奨

後者の音楽防音室(工作室を含む)は、共通して上記の内容に加えて、次の項目が重要になります。
・木造軸組在来工法、ツーバイ工法による特性
 *ピアノ、ドラム、マリンバ、チェロなど床を共振させる楽器の場合はツーバイ工法は共振するので不利。
・床の仕上げ材の種類
 *カーペット、フロアシート、フローリングなど
 *ピアノ、マリンバ、チェロの場合は針葉樹無垢材が適する
 *ピアノは杉無垢材(針葉樹)が最適
・床下空間の有無
 *グランドピアノは建物全体で音響を調整するので、床下空間が必要

なお、既製品(建築材・防音材)のメーカー自己申告の性能は、現場における効果と乖離することがありますので、担当現場での防音効果や音響について、できる限り検証することが望まれます。

以上の内容が防音設計の基本事項になります。あと、窓やドア・換気扇の製品及び構造については、有料の防音相談においてアドバイスを行っています。具体的な製品名が重要になりますので、ホームサイトの投稿記事では記述を控えさせていただきます。
※参考記事:木造住宅・音楽室の防音設計