防音設計の基本と周波数特性(2021年11月号)

重複する内容も含まれますが、他の専門サイトやマニュアル(書籍)に記載されていない事項を、本稿を含めて複数回にわたって、投稿する予定です。

防音設計の基本機能は「遮音」「制振(防振)」「吸音」であることは、今まで繰り返して述べてきました。

これに音の共振や固体伝播を抑える「絶縁材」または「絶縁処理」が重要であること、素材には周波数特性(透過損失、吸音性、制振性など)があることを考慮することが相乗効果に繋がります。

逆に言えば、上記の基本事項を軽視すると、費用対効果も低くなり、弱点が改善されなくなります。

その典型が硬質な遮音パネルや鉛パネル、ALCパネルです。硬質なパネルは制振性能が低く、振動音など固体伝播を抑えることに不向きです。

逆に柔軟性のある高比重な遮音ゴムやアスファルト遮音材は、弱点がほとんど無く、可聴域の音に対しては、ほぼ右肩上がりの質量則の曲線に近い形で高音になるほど遮音効果が高くなっていきます。

大半のメーカーが、従来の遮音パネルと並行して、別の資材を使用した製品を作り始めています。
その多くが、樹脂・アスファルト基材・ゴム素材を使用しています。

これらは、素材の持つ周波数特性や相乗効果に着目しています。

この現象を応用すれば、既製品の遮音パネルは不要であり、現場で手づくりで施工するほうが効果的であることに気づきます。この点が専門業者の技術力を見極めるポイントになります。

そして、防音設計における「施工要領」によって、遮音欠損を小さくしながら、防音効果を高めることになります。
一般的な建築材との組合せによっても、防音構造の周波数特性や相乗効果は変化していきます。