この現場は、木造住宅3階建てで2世帯住居の3階にピアノ室を併設しています。新築の完成前に防音職人へ問い合わせがあり、防音相談と企画案・見積りの作成を繰り返し、十分に依頼者との相互理解を深めたうえで防音工事を実施しました。

このピアノ室は、ピアノなど音楽教室として運営するため、グランドピアノ、アップライトピアノの2台が設置されました。
私の防音設計・施工の標準的な対策事例に比べて、遮音材は概ね半分しか使用していません。それは、壁や床への荷重量による経年負担、地震への安定性を考慮して軽量化したことと、室内の天井・壁・床面積が大きく、予算オーバーを抑えるためです。

防音効果は、依頼者のご報告によると、夜の10時ころに弾いても、戸外へは殆ど聴こえないくらいの音の状況のようです。
「家の外に出て聴いてみると、よっぽど耳を澄まさない限り夜22時過ぎでもピアノの音は聞こえません!!素晴らしい防音です!!床材もとても美しいです。」(依頼者の原文のまま)
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今回の外壁の内装に設置した「防音壁は約65ミリ」です。私の予想以上の高いレベルの防音効果のようです。担当した専属チームの施工も丁寧だった証拠です。まさに薄いコンパクト防音、という防音職人の特長そのものです。

設計・施工の特長として、防音壁の薄さ以外に、床に無垢の杉板フローリング、壁と床に構造合板を増設し、かつ制振材・吸音材で壁と床の共振絶縁をしたおかげで、音響がよく、戸外への音漏れも少なかったという相乗効果を生み出したと言えると思います。
*ペトロフ・グランドピアノのナチュラルで豊かな音色を生かすため、床の下地補強、無垢の杉板フローリングなど音響も配慮しました。

まさに木材と音響・防音構造の相乗効果であり、いかに木材と防音材の相性、下地補強が重要であるかを物語る典型例でしょう。
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