この木造ピアノ防音室は、新築木造住宅の計画段階から約半年をかけて防音設計の仕様を検討し、諸事情で着工が大幅に遅れ、中断時期を含めて完成まで延べ2年間かかりました。

依頼者のご要望は、近所に迷惑にならない程度の防音性能を確保すること、ピアノ室全体を無垢の羽目板で仕上げるということでした。

問題は、防音工事を担当する建築会社がピアノ防音室の施工が初めてであること、吹き抜け部分によって表面積が普通のピアノ室の2倍以上あり、防音材などの資材費や施工費用が嵩むため、薄型防音によってコンパクトに構築する必要があることでした。
また、新築の段階では、新築担当業者に床下や間仕切壁内部などに市販の吸音材を入れることしか要望できないため、限られた吸音性能しか確保できないという制約がありました。

このため、床下や壁内、天井裏に出来る限り空洞部の共振を抑えるように吸音断熱材を指定して、床下は大引きなどの補強を依頼しました。新築工事の途中では画像をメールで転送していただき、随時チェックしました。テレワークですべての中間チェックをしました。

防音工事担当会社へは、施工説明図と防音材などの施工要領を詳細に作成して渡しました。長期間のサポートをして完成したピアノ室は、依頼者が十分に満足できる防音効果と音響が確保できました。
*床の防音構造は無垢材フローリング15ミリを含めて約60ミリの薄型仕様です。
*防音壁は羽目板を含めて約40ミリの厚さで納めました。(壁内部には吸音断熱材を充填)
*関連記事(補足説明):薄型ピアノ防音室

以下、依頼者からのご感想を原文のまま掲載します。

『今の所、音響もちょうどよく、心地良く弾かせて頂いております。防音工事をして下さった大工さんも、ピアノが入った後にいらっしゃって外から音を聴いてみて、弾いていると知らなければ全然音に気付かないとおっしゃっていました。
室内にはそれなりに聴こえますが、騒音ほどではなく、お昼寝の邪魔にならないレベルです。
また、12月になり、防音室に暖房器具を入れましたが、あの広さなのに暖房器具一つで十分な温度を保つ事が出来ており、部屋の気密性を実感しております。
これも全て、防音職人様に設計して頂いたおかげです。本当にありがとうございました。

防音工事の標準価格も教えてくださり、ありがとうございます。
それに比べ、かなりの安価でとても質の良い防音室を造って下さって、本当に感謝しております。こちらこそ、一度も対面でのご挨拶を出来ないままで恐縮ですが、素晴らしいご縁を頂き、ありがとうございました。』
ピアノ防音室