金管楽器(ホルン、トランペットなど)の練習室として、新築住宅に併設する形で建築士が設計した現場でした。(建築士は防音職人とは無関係です)
施主からも防音室として要望された練習室でしたが、完成してから音を出してみると、かなり音漏れが目立つということで、担当建築士よりDIYでも良いから対策はないでしょうかという相談で、選んだ製品が吸音ウール20ミリでした。
最初は、相談主の建築士が恥ずかしがって設計内容を詳しく教えてくれなかったのですが、詳細を知らないとアドバイスも何もできないと、私(防音職人:音響・防音設計担当)が強く言ったので、ようやく問題の構造を理解することができました。
そして、吸音ウール20ミリを音漏れの目立つ壁面に直接、二重張りして音漏れを軽減することができました。なんとか昼間を中心に練習できるようになったということです。
吸音ウール20ミリを採用した理由は、高音の音漏れが目立つということと、防音ドアなどの建具と既存壁面の隙間が40ミリ程度しかないためです。
吸音ウール20ミリは密度の高い吸音材のため高音域の吸音率が高く、この現場の音漏れ周波数に合致すると考えました。
そもそも、建築士が防音室の設計を失敗した理由は、壁に石膏ボードと薄い遮音シート1.2ミリを張り、壁内にグラスウールを充填しただけで、ほかの材料、防音材を使用しなかったため、主に高音域において音漏れが目立つことになったのです。
*使用した製品がすべて高音域の遮音効果が乏しいものでした。
製品の周波数特性をまったく知らないで設計した典型例でした。
木造建物の防音室を設計できる建築士はきわめて少なく、業界の人材面の問題と言えそうです。
この案件は、新築前に相談をお受けしていれば、間違いなく問題を解決できていました。せっかくの新築完了後に材料を張り付けることなく、家具の配置などで音響も調整出来たと思います。